19. ケンコーKDSマウントの簡単ジンバル風改造1
KDSマウントの改造完成

 可動アームの向きを単純に逆にする事で高さが低くなり、支点部とスコープの重心が大幅に近くなります。
前作のジンバル雲台では支点部と重心の高さがほぼ理想的な同位置ですが、簡単な改造で、TSN-4Nの場合約11cmと大幅にずれていた重心が約7cm下がり0にはならないものの4cmとなり、安定度と操作性が格段に向上します。

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ケンコーKDSマウント 改造前

 改造前のケンコーNEW KDSマウント
天体望遠鏡用として全周微動装置を備えた経緯台式マウントで、ロック不要のフリーストップと微動ノブが特徴的です。
ただし標準の状態ではフリクションを弱くすると前後5度ほど傾けるとバランスを崩して転倒したような状態になってしまいます。
注:スコープマウント部のみ改造済み

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改造によるデジスコ用雲台としての可能性
 アームの向きを逆にする事で、ジンバル雲台に近いバランスが得られ、元々のフリーストップの強い固定力と微動ツマミを生かす事で、フリクションの調整幅が大きい。
フリクションを強めて微動を生かしたガッチリ支えて撮影をするような使い方から、フリクションを弱めてジンバル風のやわらかく素早いフレーミングをするようなオールマイティーな使用方法が出来る雲台で、中型のビデオ雲台の特徴とジンバル雲台の特徴を兼ね備えた中間的な雲台になります。
重量は970gとやや軽めですが、ほぼ全てのサイズのフィールドスコープからデジ眼500mm程度まで搭載出来この重さのわりには理想的です。
また、この微動部にはプリセットの360度の角度表示があり、堤防に列んでいるカモメを観察する時などでは、さっきのカモメは何処だったと位置を確認するにも役に立ちます。
スコープの上下移動
上下方向には±50度ほど傾けられほとんどのシーンで無理なく撮影が出来ます。ただし±15度ほど傾けるとバランスを崩す傾向があるため、スコープを前後に移動しバランスを取り直す必要があります。
ただし改造前だと±5度ほどでバランスを崩すため本改造でかなり操作性が向上しました。
KDSマウントの改造
KDSマウントの改造

改造は簡単で可動アームを逆向きにセットし、マウント部にM6×25ビスで固定用の穴を開けタップを切り込んで取り付けます。可動アーム側が2mmほど盛り上がっているのでヤスリで削り落としましたが、簡単に作るにはスペーサーで代用できます。マウント部の写真参照

拡大 各部名称を表示
パーンハンドルを追加しました。下の写真を参照。
前側より 拡大 マウント側より 拡大
マウント部の改造

 通常スコープに使用している GITZO 2380 のロングスライドレールをそのまま使用出来るようにマウント部(アリ溝ヘッド)をヤスリで削り、大きな固定ノブネジをデザイン性を考えてM8×20ノブスターに変更しました。写真上参照
天体用のアリ溝レールを使用する場合は改造は不要です。

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フリクション部のアレンジ

 標準のフリクション調整はツマミの内側にある皿ビス4本で調整する様に取説に書かれていますが、プラスドライバーでの調整となり撮影中に調整が出来ませんが、中心部の5mmビス(ツマミ)を締め込む事で調整が可能でしたので、4本のビスはやや緩めにセットしました。

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水平フリクション部のアレンジ

 水平方向ではアームを下向きにしたためオリジナルのツマミは可動アームに干渉するため使えませんのでM6×15のキャップボルトを加工し、スペーサーを入れフリクション調整を簡単に行えるようにしました。

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追加工したパーンハンドル
 改造後に何か足りないなと感じていたのが使い慣れていたパーンハンドルです。
元々天体用の経緯台なので硬いフリクションで使うには必要ありません。
 デジスコで動きのある被写体にはフリクションを弱めてパーンハンドルの方が操作しやすいのでジンバル雲台2で作成したパーンハンドルを着脱式で取り付けました。
フリクションを強めて使う場合はパーンハンドルを破損する恐れもあり状況により着脱します。
パーンハンドル取り外し時 拡大 パーンハンドル使用時 拡大
改造KDSマウントの実用
TSN-824M

 82口径のスコープも十分搭載可能です。ただし824Mではアーム上部に干渉するためスコープの角度をやや立てた位置でセットしますが、フォーカスノブが真上にくるため操作にはあまり影響が出ない範囲です。
ほとんどのスコープが搭載出来るのも魅力の一つです。

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TSN-604ED

60口径のスコープなら楽勝です。

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EF500mmF4.5L

 このクラスあたりまで使用出来ます。
ガッチリと固定するにはやや弱い感じがしますが、自由雲台として使うには使いやすい感じですが、KDSをジンバル改造2の方が更に使用しやすいです。
写真のカメラはアナログのEOS3です。

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まとめ:
 
今回改造を通してこの雲台の魅力はかなりオールマイティーな使い方が出来る点です。
1.フリクションを緩める事で、前作のジンバル雲台には及ばないもののかなり柔らかい動き
  が出来、速写性も通常のビデオ雲台よりはるかに良好です。
2.フリクションを強める事で、高い保持力が得られジンバル雲台の欠点である風の心配も少
 なく、更に強いフリクション時でも微動ノブで微調整がそのまま出来るのも魅力的です。
 ロックした後にちょっと動かしたいなんて経験は多いと思います。こんな時に大変便利
 だと感じます。
 結果的にいろんな撮影シーンでフレーミング後のロックが不要で、ほとんどのスコープや
 デジ眼など搭載出来、機材を選ばないのも大変ありがたい雲台になりました。
サンプル写真
エリマキシギ 幼羽  海老名市

動きの少ないこの撮影ではフリクションを強め微動ノブでフレーミングをしてみましたが、動かないで居る時にはパーンハンドルより操作しやすく感じます。

TSN-824M + 14WE + S80
ISO50 1/125 F5.3 20.7mm

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セグロカモメとミツユビカモメ
釧路 仙鳳趾漁港
(センボウシ)

堤防のカモメ観察にも微動は大活躍、気になるカモメに角度表示をプリセット、元の位置に戻すのも大変便利です。

TSN-824M + 14WE + P5000
ISO100 1/203 F3.9

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18. 振り子式ジンバル雲台
21. KDSマウントの簡単ジンバル改造2
25. 自由雲台を使った軽量ボールヘッドジンバル
31. Kenko NEW KDS マウントKの軽量化改造とガタ対策