18. ジンバル雲台の制作2(振り子式雲台)
ジンバル雲台(振り子式雲台)

ジンバル雲台2(振り子式雲台)は、基本構造は 18.ジンバル雲台1と同様ですが、主な違いは、電車やバス移動に適した小型スコープに最適化して全体を小型・軽量化しました。

17.ジンバル雲台1
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ジンバル雲台2の特徴

全体の小型化により搭載出来るスコープが77口径の TAN-4N、TSN-604ED となりました。
軽量化には、スコープマウント部を G2380の上部マウントの流用を止め、直接スライドレールを取り付け、パーンハンドルもφ12アルミパイプで加工する事で約550gまで軽量化することができました。
また、耐久性の改良では可動部軸受けにベアリングを採用し、耐久力をアップさせました。

スコープの上下移動 前回のジンバル雲台1に比べ高さを低く抑えた結果、スライドレールが当たりやや可動幅は少なくなっていますので真上の撮影などでは不向きです。
ジンバル雲台2の制作
ジンバル雲台の制作

フレーム:5×50のアルミ材、3×20アルミLアングル
ビス類は支点用6×30 2本、固定用4×12他三脚固定用 ISO9×50、支点ロック用ノブスター6mm 2個、NTNベアリングF686A 2個
アーム:φ12アルミパイプ、スポンジグリップ、φ10アルミ棒

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操作側より(パーン棒外し) 拡大 正面より(パーン棒外し) 拡大
スライドレールマウント制作

通常スコープに使用している GITZO 2380 2180 マンフロット501 のロングスライドレールをそのまま使用出来るようにアルミ板を写真のように加工し、4mmサムスクリューで固定出来るように加工しました。撮影だけだとレールを直固定する方法をとれますが、特に観察時はカメラを外すのでスライド機能は必須条件でした。

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支点部ベアリング軸受け

試作品では穴を開けただけでしたが、スコープの重量がこの部分にかかり、使用するうちに変形がありましたので、軸受けにベアリングを採用しました。

NTNベアリングF686A
内径φ6外径φ13厚さ3

支点部

最も神経を使う部分で、スムーズな動きと強いブレーキ力を要求されます。
当初セーム皮や厚紙を使用しましたが、微動したときに反発があり、支点部のフリクションにはφ30ワッシャー+遮光材、固定部にはφ22ワッシャー+遮光材を挟み込みスムーズな動きとブレーキ力が得られました。

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水平フリクション調整部

制作当初はM9×50インチネジで単純に固定していましたが、微妙なフリクション調整が欲しくなり、支点部同様に遮光材とワッシャーで調整出来るようにしました。
また、三脚のポールに直にとりつけていますのでM9ネジが緩みやすく薄く接着剤を付けネジの緩み防止をしています。

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ジンバル雲の実用
TSN-4N

77口径の4Nの横幅に合わせて制作しました。横幅がこのサイズでギリギリです。
824Mは横位置セットは不可、縦位置の場合はマウント位置が違うためにマウント部の変更が必要です。

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TSN−604ED

60口径の604EDでは、余裕があります。
このクラスのスコープが最も適した大きさでしょう。
電車やバスを使った移動に最適です。

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真横より 拡大 後方より 拡大
まとめ:
このタイプの雲台の使いやすさを左右するのが、支点部のフリクション調整の材質にあります。ワッシャーのみの硬い材質だとブレーキ力は強くなりますが動きのスムーズさがありません。逆に柔らかい厚紙や皮だと微動時に反発が起こり使いにくくなります。
今回は遮光材をワッシャーに貼り付けたものが反発が収まり最も良い動きとブレーキ力が得られました。
今回の雲台は約550gと軽量で、通常の雲台のようにフレーミング後のロックが不要なので使い易い雲台に仕上がりました。
サンプル画像
夕刻のゴイサギ 町田市
TSN−4N+14WD+E7900

暗い桑の木の中でゴイサギが川を見つめていました。スローシャツターですがブレも少なくなかなかいけます。

ISO-100 1/5sec f2.8
07.07.29 E79-08070
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ゴイサギ幼鳥 町田市
TSN−4N+14WD+P5000

スローシャツターですがブレも少なくなかなかいけます。

ISO-64 1sec f5.3
07.08.12 P5000-02533
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カワセミ幼鳥 町田市
TSN−4N+14WD+P5000

ゴイサギ撮影中に近くの桑の木の先に、フレーミング後ロック無しに撮影出来るんで速写性もなかなかです。

ISO-64 1/47sec f5.2
07.08.12 P5000-02469
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17.ジンバル雲台1(大型スコープ用)
19.ケンコーKDSの簡単ジンバル風改造1のページ
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