17. ジンバル雲台の制作1(振り子式雲台) ジンバル雲台の制作2
ジンバル雲台(振り子式雲台)

ジンバル雲台の特徴は、スコープを上向き、下向きにした時に、一般の雲台では、雲台の回転軸とスコープの重心が異なるために重心がズレ重量バランスが崩れてしまいます。
ジンバル雲台の場合は、雲台の支点とスコープの重心がほぼ同じ位置のため、上下に動かしても殆どバランスの崩れにくい構造になっています。

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ジンバル雲台の利点と欠点

利点:
スコープを上下に動かしても重心が移動しにくい。
バランスが良いため、堅くロックしなくても合わせた位置を保持してくれる。スムーズな動きで速写性良し。
雲台重量が比較的軽くなっている(約900g)
欠点:
剛性が低く、ロック力が弱いためがっちり固定する事が出来ないので風のある場所では適さない。横幅が大きく携帯性が悪い。

スコープの上下移動 雲台の支点がスコープの重心に近く、どの位置でもバランス良く、軽いフリクションでロックする手間が無くスコープの位置を保持してくれます。
ジンバル雲台の制作
ジンバル雲台の制作

フレームは5×50のアルミ材、3×25アルミLアングル
ビス類は支点用6×30 2本、固定用5×15 12
本、三脚固定用 ISO9×50、支点ロック用ノブスター6mm 2個
スコープ固定部は、都合良くスライド機構を持っているジッツオG2380雲台の上部を流用しています。交換してどちらにも使用します。

制作の注意点:

5mm厚のアルミ材を直角に曲げるのは難しく、可動側は曲げて作りましたがうまく直角が出ずに苦労しました。外側は曲げを諦めてLアングルで接続しています。
可動部のフリクション調整にはセーム皮を重ねて挟み込んでいます。
全体の高さは高くなると剛性を低下させるためなるべく低い方が望ましいです。

ジンバル雲台の実用
TSN−824M

80口径の824Mでも、支点のフリクション調整で軽くスムーズに位置がきまってくれます。
824Mの横幅に合わせて制作しました。

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TSN−604ED

60口径の604EDでは、余裕があります。60口径専用に作ると幅を狭く小型化も可能でしょう。

EF500mm+EOS30D

このあたりが搭載の限界でしょう。
重心が支点より高くなり、5mmアルミフレームの保持力も厳しくなってきます。

まとめ:

このタイプの雲台を使用する条件として、軽い位置決めとバランスを生かして、支点のフリクションを固定せず、弱めにして使うのが理想的で、固定する手間が省け速写性にすぐれています。
反面、通常の雲台に比べ剛性が弱く、固定力が小さいため、風の強い海岸などで使う場合は、通常の剛性のある雲台の方が望ましいと思います。
今回は824M用テストとして簡単に作成してみましたので、構想では支点にベアリングを使うつもりでしたが、穴を大きくするのは後でも出来ると思い、簡単に加工しましたので、使ってるうちに支点部が摩耗する事が予想出来ます。
近所の川に数回のテストではスローシャッターでもなななかいい結果ですが、風のある条件でどうなるかが長期使用で気になるところです。

サンプル画像
日陰のキジバト 町田市
TSN−604ED+14WD+S80

雲台の調整をしてるところに現れました。

ISO-200 1/15sec f4.5
07.06.30 S80-00608
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夕刻のゴイサギ 町田市
TSN−824M+14WE+E7900

近くの境川で早速テスト、土手から下向きの撮影もバランス良好です。

ISO-50 1/9sec f3.7
07.07.01 E79-07689
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小型化に改良したジンバル雲台の制作2