制作 13.09.24

29. 防振シーソーレリーズの制作
1.防振シーソーレリーズの特徴

従来のシャッターボタン上部にレリーズを取り付けた場合、レリーズを持つ手の動きがレリーズの重みも加わり振動がカメラに大きく伝わりブレの原因となり、特に太く硬いレリーズの場合はその傾向が顕著に表れます。

防振シーソーレリーズの場合、レリーズがカメラの下部にあり、軽い手の動きではカメラにかかる重量の変化が少なく、細かい振動も防振レリーズの自己融着テープを巻いた細い部分で吸収するため極めてブレを低減する効果が得られます。
また、シーソー型レリーズの中でも小型・軽量な構造となっており、やわらかいレリーズを使うためマウントアダプターに巻き付けられるので、レリーズを外す事無く、付けたままカメラバックに収納出来るため携帯性にも役立ちます。

PowerShot S120 に装着した状態

防振シーソーレリーズは取付部の応用で多くの機種に応用可能です。
S120の場合、ズームレバーがシャッターボタンと一体構造で前面からの操作のため、前面からのズームレバーが操作できなくなりますので、背面からズームレバーを動かすためのアダプターレバーの制作も必要になります。

他機種への応用は下の他機種への応用を参照下さい。

各写真をクリックすると拡大します。
2.シーソーレリーズ本体の制作 ( PowerShot S120 の作成例 )
準備する材料は、本体に2mmアルミ板、シーソー可動部は露先38mm(アルミ製で笠の先端)、スペーサーは5mmのプラパイプ等、固定軸は2mmビスを使用しました。
@  先ず写真1を参考にカメラに合うように厚紙などでカメラへのフィッティングを確認し、アルミ板にけがきをし切出しをし、レリーズの取付部などをバイスで曲げ写真2のように加工します。
アルミ板のカットには写真5の刃の薄いピラニア鋸でアルミ用オイルを注油しながら切断すると楽に切断できます。
A レリーズの取付部を実機に合わせて5mmのタップ加工し、軸は2mmのタップ加工します。
B 可動部の露先は写真2を参考に半円になるようにカットします。
C ズームレバーの裏面はシャッターボタンの外径に合わせ2段の段付き加工をします。
D スペーサーは現物合わせでガタが出ないような巾でカッ
トします。
E 本体の組立ては強力両面テープを使用し、ズームレバーは接着剤を使用していますが、カメラ本体やシャッターボタンに接着剤が付かないように細心の注意が必要です。
F 仕上げにはシャッターボタンに植毛シールを貼っています。
写真1 2mmアルミ板にけがきした状態(参考) 写真2 切出し加工した構成部品
写真3 仮組み立てした部品 写真4 塗装後の部品
写真5 アルミ板切り出しに使用する鋸 写真6 露先38mm(笠の先端補修部品)
3.防振レリーズの制作加工
防振レリーズにはケーブルが柔らかく5mmのダイス加工のしやすいエツミ製レリーズプロ35 E−396(長さ35cmストッパーなし)を推奨します。
加工は単純で万力で写真7-Aのように5mmのダイス加工を行います。
防振材料の自己融着テープを伸ばしながらBのように徐々に細くなるように6〜8cm位巻き付けます。
写真7 防振レリーズの加工状態
@ 加工前のレリーズ
A 5mmのダイス加工したレリーズ
B 自己融着テープで防振加工したレリーズ
写真8 推奨レリーズ エツミレリーズプロ35 E-396 写真9 レリーズの5mmダイス加工 
写真10 自己融着テープ  写真11 自己融着テープの巻き方 
4.防振シーソーレリーズの他機種への応用
防振シーソーレリーズは5年前の08年にW300で作成して以降重宝して使用しています。
カメラの形状により、取付部の形状や露先(シーソー)の長さなどのアレンジによって多数のカメラに応用しています。いままでに制作した一部を紹介します。
SONY DSC-W300  初代シーソーレリーズ PowerShot S80  BR-S80に追加取付 
Nikon COOLPX P6000   取付部をカメラのグリップに合わせて曲げ加工し、シーソーは長さを延長するために5mmの真鍮パイプで延長加工し、複雑な形状のカメラにも対応しています。
PowerShot S90 ズームレバー追加  Nikon COOLPX P300  ズームレバー追加
Nikon 1 J-1  レンズ交換式にも応用