制作 11.07.24

28. SWAROVSKI STM-80HDでデジスコ 追加 11.07.30
SWAROVSKI STM-80HD

対物レンズの口径が80mmで長さ335mm、重さは774と同じ1,330gで80口径にしてはコンパクトなスコープです。
このスコープの魅力は25-50倍の新しいワイドタイプのアイピースで、ズームを活かした見やすい観察と今までズームアイピースでは難しかったデジスコ撮影も単焦点レンズのように扱えるのが魅力的なスコープです。

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デジスコの接続

カメラとの接続はデジスコドットコムのSW−Zを使用しています。
SW-Zは旧タイプの20-60用でそのままでは新しい25-50のアイピースには使用できませんので改造が必要になりました。
カメラとのクリアランスは短めで、カメラアダプターも新タイプのズームアイピースに合わせて新たに作り直す必要がありました。
照準器は今まで実績のあるダブルクリップ式を採用しました。
写真はP300での接続になります。

30SW (30倍アイピース) STM-80HD+30SW+SW1+TA4+自作A+S95

30倍の単焦点アイピースでの接続はSW−1を使用しています。SUAS機能でクリアランス調整も簡単で、見やすさと撮影でも十分満足の出来るアイピースです。
新しいズームアイピースはかなり良くなりましたが解像感はやはり単焦点の方が上まわります。

ワイド端 6.0mm 中 間 テレ端 22.5mm
合成焦点距離 840mm 合成焦点距離 3150mm
25-50W (新タイプ25-50倍アイピース) STM-80HD+25-50W+SWZ改+TA5+自作A+S95

新しい25-50倍のズームアイピースは、倍率は従来の3倍から2倍となりましたが、ワイドタイプとなり従来より広い視野を確保して、明るく観察しやすさが格段に向上し、アイピースのズーム変化による周辺光量の変化も驚くほど向上ししています。
撮影時のケラレの出方も少なくなり30倍の単焦点にかなり近づいています。
従来のズームアイピースではズーム変化で大きく周辺光量が変化し、ズーム操作をする度にクリアランスの補正が必要で、複雑な補正操作が必要でしたが、新タイプではアイピースのズーミングを行ってもほとんど補正をする必要が無く、単焦点レンズのように扱えるのが大きな魅力です。
解像感は単焦点には及ばないものの全域で、単焦点と比較しても区別がつけられないほどかなり向上しており、観察のしやすさを考慮すれば、これからの標準アイピースになることを実感します。
アダプターは旧タイプ用のSW−Zを改造する必要があります。  改造方法は次項参照

25倍  合成焦点距離 750mm 30倍  合成焦点距離 840m 50倍  合成焦点距離 1400m
ワイド端
中 間
テレ端
合成焦点距離 2625mm 合成焦点距離 3150mm 合成焦点距離 5250mm
20-60xS (旧タイプ20-60倍アイピース) STM-80HD+20-60S+SWZ改+TA5+自作A+S95
旧タイプの20-60倍ズームアイピースでも従来から解像感では良い定評がありましたが、ズームレンズの宿命の狭い視角とスーミングによる周辺光量の変化が発生してしまいます。

デジスコアダプターは、デジスコドットコムのSW−Zが使用可能です。
20倍  合成焦点距離 560mm 30倍  合成焦点距離 840mm 60倍  合成焦点距離 1680mm
ワイド端
中 間
テレ端
合成焦点距離 2100mm 合成焦点距離 3150mm 合成焦点距離 6300mm
新旧のズームアイピースのズーム変化による周辺光量の変化
ズームアイピースの使いやすさに観察では視野が重要視されますが、撮影に使用する場合はズーム変化による周辺光量の変化とピントの移動が使いやすさに大きく左右します。
旧タイプではズーム変化で周辺光量が大きく変化しているのがわかります。
これを修正するのにクリアランス調整をズーミングする度に必要となり、カメラ側のズーム変更と合わせて複雑に変化し、操作が乱雑になり使いにくくなります。
新タイプでは周辺光量の変化が驚くほど少なくなり、ほとんど補正をしなくても気にならない程優秀になっています。
25-50W (新タイプ25-50倍アイピース) 接続アダプターSW−Zの改造

旧タイプ用のデジスコドットコムのSW−ZはSUAS機能がありクリアランス調整が容易に出来るメリットがありますが、残念ながら新タイプの25-50倍アイピースでは、写真のA部の太さが太くなり、そのままでは当たりが生じ取り付けが出来ません。
改造としてアダプターSW-Zの内側B部を削って当たらなくすれば新しい25-50倍アイピースでも使用できました。
また、アイピースとカメラとのクリアランスは他のアイピースより短くなる傾向でアダプターと同時にカメラとのクリアランス調整が必要になると思えます。
私のクリアランス調整はカメラのレンズが一番短くなるズーム位置(中間付近でSUAS量は0mm)で最短クリアランスを調整固定し、撮影時はカメラ側のズーム変化に応じてアイピースのSUAS機能を利用してクリアランスを長くするように調整をするようにしています。  改造は個人の責任で行って下さい。

← SW−Zの取り付けはねじ込み式の接眼目当てを取り外してSW−Zを取り付けます。
  取付ネジは新旧とも同サイズでした。

← 接続アダプターはSW−Z専用の径の大きいTA5になり、単焦点レンズ用SW−1(TA4)と互換性はありません。

↓ A:新タイプでの干渉箇所
  B:SW−Zの改造箇所

色再現性
ズコープの見やすさに影響するのが色カブリやコントラストがありますが、標準的でクセが無く見やすかったコーワ TSN-774 と比較してみました。
テスト方法は色味の差をわかりやすく確認するために基準となるTSN-774でホワイトバランスをマニュアルで調整し(写真1)、そのままの条件でSTM-80HDで撮影しました。(写真2)
結果としてコーワのスコープと比較すると画像データよりシャドウ部の変化は感じられませんが、中間からハイライト側でブルーのコントラストがやや高くなっており、その結果として見た感じ全体的にやや青みを帯びたように見えています。
しかしSTM-80HDでホワイトバランスをマニュアルで調整し直すと色味のズレは感じられずにわずかにコントラストだけがやや高くなったように見えます。(写真3)
STM-80HDの倍率色収差は774と比較しても細かい文字でも色のニジミがかなり少なく、大変優秀な結果です。
写真1.KOWA TSN-774 写真2.STM-80HD
写真3.STM-80HD
サンプル画像
カワセミ

新タイプの25−50倍アイピースでP300にて撮影しています。

STM-80HD+25-50W+SWZ改+TA5+自作A+P300
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まとめ
STM−80HDは小型・軽量で性能にも大いに満足できるフィールドスコープです。
撮影だけ考えれば、30倍の単焦点アイピースを選択することでしょうが、新タイプの25-50倍アイピースの性能が驚くほど向上しており、観察と撮影を両立する場合、標準レンズとして大いに期待できます。
単焦点とズームの交換の際にアダプターの互換性が無くTA5、TA4を交換しなければならないのが残念なところです。
操作面では今まで使用していたコーワ774のダブルリングのフォーカスが指1本で微調整が出来たのに80HDでは大きなフォーカスリングで微調整時にブレがでやすく慣れで解決できるか不安が残ります。
また、フィールドスコープの重要な要素に階調再現性がありますが、倍率色収差の発生は少なく優秀ですが、やや色味がブルー傾向ですが、テストではさほど違和感は感じられませんでしたが、カモメの微妙なグレーを見た時にどのように見えるか、期待と不安があります。