20. ケーブルレリーズのブレ対策簡単改造
ケーブルレリーズのブレ対策

 倍率の高いデジスコシステムではブレは大敵です。ブレにも被写体ブレ、風、地面、機材など色々な発生源がありますが、
今回は手からケーブルレリーズにより伝わる振動を軽減する対策を紹介します。

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ケーブルレリーズの種類と特徴
 ケーブルレリーズには長さ、太さ、材質の違いなど様々な種類が発売されています。
今回はその中で、硬い物と柔かい物とでブレの伝わり具合をテストしてみました。
硬い物には、ケーブルの太いものが多く、ビニールコートや熱収縮チューブなどで加工されている商品が多くあります。特徴として動きがスムーズで折れ曲がりにくい利点があり一般的には高価な商品が多くあります。
柔らかいものには、ケーブルの細い物が多く、構造も単純で安価な物が多く出回っています。特徴として、ケーブルが折れやすく、場合によってはひっかかりのような状態になり動きが悪くなりやすい欠点がありますが、振動は伝わりにくくなっています。
ケーブルレリーズでのブレ振動の伝達と対策
 ケーブルレリーズによるブレの発生はケーブルがシャッターを押す手の動きや風などで揺れ動く事で発生し、振動がカメラ側にケーブルを伝わりカメラブレが発生します。
発生源となる手の動きを少なくするために息を殺して静かにシャッターを押すのが基本ですが、これには限界があります。
また、三脚、雲台などのガタツキやジンバル雲台のような柔らかい動きのバランス方式の雲台では特にケーブルからの振動が顕著にブレに影響してきます。対策として柔らかいケーブルを使用して、カメラ側に自己融着テープを使用し弾力性を付ける事でかなり振動を軽減してくれる効果がテストから得られました。
ケーブルレリーズの硬さによるしなり具合の変化
最上部付近のケーブルのしなり具合に注目下さい。
写真A 硬め 写真B 柔らかめ 写真C Bを改造後
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写真A:硬めのケーブルでカメラ側に収縮チューブなどでオレ防止がされている場合特に剛生が高く振動が伝わりやすくなります。
写真B:柔らかいケーブルの場合、たわみが大きくケーブルが折れやすく、小さい振動は影響しにくいが一定以上の振動は取り付けの回転部で発生しやすい。
写真C:柔らかいケーブルに自己融着テープで改造した場合、滑らかな曲線になり折れの防止効果と、テープの巻きの少ない部分で振動を軽減し、ブレの発生が少なくなる良い結果となりました。

テスト方法は、雲台の固定トルクをゆるめにし、ケーブルを上下、左右に動かして、カメラの液晶面でブレの伝わりを確認します。
その際、カメラの倍率を高めにしておくと顕著に振動の伝わりが確認できます。

ケーブルレリーズの改造方法

改造は大変簡単で、カメラ側に写真のように、自己融着テープを約12cm位巻き付けるだけです。
巻き付けには自己融着テープを約2倍位に伸ばしながら、カメラ側から徐々に細くなるように巻き付けます。
また、金属部から2cm位を熱収縮チューブや硬めのテープを付ける事で折れ防止の効果があり効果的です。

改造前のケーブルレリーズ 改造後のケーブルレリーズ
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カメラ側より段々細くなるように巻き付けます。

カメラ取り付けの回転部にもテープを巻き付けますので、カメラへのセット時はやや操作性が悪くなりますが、横方向の振動には回転部を回転させない方が振動軽減には効果的でした。

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材料

自己融着テープ
(自己融着ブチルゴムテープ)

ホームセンターや電気材料店で配線の被膜保護用に300円から600円位で販売されています。

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注意:ケーブルが太く振動を伝えやすいケーブルで本改造を行っても期待する振動の軽減効果は期待出来ません。
サンプル写真
アオサギ  町田市

夕刻のアオサギをスローシャッターで撮ってみました。ブレ対策で成功率が幾分アップしたように感じます。

TSN-774 + TE-10Z + S80
ISO500 1/13sec f5.6 11.4mm

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No.071111-774-S80-10503
まとめ:
 
今回改造は、ついつい見逃してしまいそうな小さな改造ですが、やってみたら想像以上に効果があり、安価な柔らかいケーブルレリーズでも十分効果が期待出来ます。
スローシャッターの多いデジスコ写真の場合では、ブレ対策の一部にすぎませんが、雲台を柔らかいトルクで使用する場合は特に試してみる価値はあると思います。
また、ケーブル以外にもレリーズステーなどのガタツキは禁物ですし、三脚、雲台、スコープのプレートやヒップサポートなど総合的なチェックが効果的です。