08.11.24
08.12.07改訂

24. Nikon COOLPX P6000のデジスコレポート 
Nikon COOLPIX P6000

P6000の特徴はEDレンズを採用した広角系光学4倍レンズにあります。
焦点距離は6〜24mm(28〜112mm)で、1/1.7型CCD 1393万画素の撮像素子を搭載しておりデジスコでは広角側はケラレが発生しますが、EDレンズによる望遠側の良い画像が期待出来ます。

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Nikon COOLPIX P6000

P6000のデジスコ化でむずかしい点は4倍ズームレンズによる広角側のケラレとアイピースとカメラのクリアランスによる光源ムラを理想的な可動式か従来通りの固定式で対応するかテストしてみます。
写真は従来の様にクリアランスをビスで固定したシンプルな状態です。

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バリアブルカプラー VCA-P6000
デジスコ化でまず考えるのがカメラアダプターですが、良いのがありました。
はVCA-P6000はアイピースとカメラの距離を簡単に調整出来るのが特徴で、アイピース側は774には
KOWA DA-10が適しているように思えます。
着脱ノブの位置を好きな方向に向けられるようになったので使い勝手も良くなりました。
最適クリアランス調整 例:TE-17W(30X) + DA10*1 + VCA-P6000
ズームポジション
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
焦点距離(mm)
6.0
6.7
7.3
8.1
9.0
10.0
11.1
12.3
13.6
15.0
16.6
18.3
20.1
22.1
24.0
A繰り出し量(mm)
4
3
2
1
0
0
0
0
1
2
2
3
4
5
6
B適性クリアランス
4
3
2
2
2
2
3
3
3
4
5
6
7
7
7
A:繰り出し量はレンズ鏡筒の最も短くなった位置からの距離
  参考:W300の場合5、S80の場合W側が6、T側が3(W端ケラレで使用不可)
B:最適クリアランスは各ズームポジションで光源ムラが最小となるVCA-P6000の目盛り位置
*1:コーワアダプターDA1
0の接眼目当てゴムは外してあります。
撮影時にカメラのズーム変化に応じたクリアランス調整を行ない光源ムラを最小に抑えるのが本来は理想的ですが、フィールドでの撮影時の対応は余裕がないと難しく、またアダプターの構造上、過去のデジスコ機ではクリアランスは固定式で使用しておりました。
VCA-P6000は幸いな事に、理想的なクリアランスを固定ツマミで簡単に調整が可能ですので、調整式とするか固定式とするか選択が可能です。
固定式で使用する場合、広角側4倍ズームレンズのため広角1、2ポジションではケラレが発生しますので、使用可能範囲は3から15までとなり、広角側を優先するなら2から3の位置に固定し、望遠側を優先するなら3か4の位置に固定すれば光源ムラの少ない状態に目安としてセット出来ます。
ただしクリアランス位置が3以下の場合、最テレ端でレンズが衝突し、レンズエラーが発生します。

撮影時にクリアランス調整を行うと急なズーム変化に対応出来ずにかえってミスを犯しかねないので固定式とするか、理想的な可動式とするか大変悩むところです。
また、アイピースが異なると光源ムラの出方が変わりますので本データは参考として頂き、使用するアイピースで最適クリアランスを求める必要があります。
シーソー型レリーズステーの制作

W300やS80でシーソーレリーズを採用し抜群の防震効果が得られましたので、本機でも制作する事にしました。
シーソ部には従来通り傘の先とジュラコンを利用しステーには2mm厚のアルミ板を曲げて制作しました。
また、本機には赤外線リモコンもアクセサリーとして対応可能で、半押しのフォーカスロック、連写には対応出来ないものの、無接点は理想的な防震効果がありシーソーレリーズとの併用が良いと思えます。

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TSN-774 TE-17W (30X)での画角変化

P6000のレンズは6〜24mm(28〜112mm)で30倍のアイピースで換算938〜3360mmとなり、デジタルズームで16倍(448mm)まで対応出来ますが、広角端ではケラレが発生します。

広角端 840mm 6.0(28)mm 最小 938mm 6.7(31)mm 望遠端 3360mm 24.0(112)mm
広角端 1050mm 拡大 望遠端 3150mm 拡大 望遠端 3000mm 拡大
SONY W300 W端 拡大 SONY W300 T端 拡大 キャノン S80 T端 拡大
W300はワイド端からテレ端までケラレが無く使用出来ますが、広角系ズームの本機やS80はケラレが発生します。
期待のテレ側では、倍率色収差が特に周辺部で目だちやすくなりますが、本機は他機に比べEDレンズにより色収差が目だたずに良好な画像が出来上がりました。
TSN-774 TE-10Z (20X-60X)での画角変化

ズームアイピースでのデジスコは一般的にはケラレと高倍率で解像感の悪い印象がありますが、本機では倍率色収差が少ない特徴を生かして十分使用可能と思えます。
ケラレの無い部分での換算1176から6720mmもの高倍率が使用が出来るのは撮影だけでなく、観察でのメリットが大きく、観察と撮影の両立に大変有益になります。

20倍 1176mm 12.3mm 40倍 12.3mm 60倍 6720mm 24.0(112)mm
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ズームアイピースでの結果は良好で、相性は良い感じです。20倍では広角側6ステップまでのケラレがあり、40倍5ステップ、60倍4ステップと広角側のケラレは多いものの、従来は高倍率側40倍が限界と思っていましたが60倍あたりまで使用出来る印象で、遠景には従来より余裕をもって撮影できるのが魅力的です。
ピクチャーコントロールの設定
画質の決め手となるのがピクチャーコントロールで、シャープ、コントラスト、彩度を調整できます。カスタム1.2にコントラストを下げた設定をしておくと光線の変化にもすぐ対応出来便利な機能です。
また、画質をNRW(RAW)を選択すると、撮影後にカメラ内の現像でピクチャーコントロールを選択できホワイトバランスやコントラストの急激な変化に後で対応できるのも便利な機能です。
スタンダード ニュートラル ビビット
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カスタム1 コントラスト(-2) カスタム2 コントラスト(-3)
参考のカスタム設定

カスタム1にはスタンダードより
コントラストを−2段入れ、通常の光線下で柔らかい設定にしています。

カスタム2にはスタンダードより
コントラストを−3段入れ光線の強い快晴時の白トビに対応

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シャープ設定
解像感の決め手となるのがピクチャーコントロールの中にあるシャープ設定で0〜6の設定が出来ます。今までのカメラでは設定を強めると輪郭が不自然になり弱める方向が頭にありましたが、幸いな事に本機は設定を強めても輪郭の不自然さは出にくく標準3ではやや弱く感じ1段強くした4程度が良いように感じます。シャープを強めて感度を上げた場合は粒状性が損なわれるので、設定には感度も考慮する必要があります。
シャープ0(最弱) シャープ3(標準) シャープ4(推奨)
シャープ5 拡大 元画拡大 シャープ6(最強) 拡大 元画拡大 拡大 元画拡大
編集のシャープ設定

1.元画像にシャープ 130-0.8-1
2.横800ピクセルに変更バイリニア
3.縮小後のシャープ 80-0.6-0

元画拡大:撮影画像の一部分

拡大 元画拡大 拡大 元画拡大
シャープ5 ISO200
シャープ4(推奨)ISO200
ISO感度を200に上げた場合の
粒状性比較

シャープを強めると粒状性も目立つようになってきますので高感度時には注意が必要です。
またISO64以外の感度の場合、ピントが甘く見えるのがテストのミスなのか気になるところです。

拡大 元画拡大
拡大 元画拡大
ISO感度変化
通常の13Mで使用出来るのはISO2000まで3200から6400では画像サイズが3Mに制限されます。設定には感度制限オートがあり100から400までの設定が可能です。
ISO64 ISO200 ISO400
拡大 拡大
ISO800 拡大 ISO1600 ISO3200(3M)
拡大 拡大
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他機に比べ高感度の補正は良いようには見られません。200まではさほど気になりませんが、400、800となるとマゼンタ、グリーンの階調不良が目立ってきます。
まとめ:
本機の特徴として他機では得られない特に望遠側の倍率色収差の少ない綺麗な画質が特徴的で、ズームアイピースを使っての観察と撮影の両立が出来るのも十分評価出来ます。
連写スピードは他機に比べ遅いのでじっくり撮影する場合にはもってこいのデジスコ機だと思えます。
操作性では特筆すべき事はありませんが、カスタム登録C1,C2にズーム位置までもが好みの記憶が出来、瞬時に切り替えられるのは大変便利な機能です。
撮影時のヒストグラム表示が無く、液晶表示だけでの露出補正となり高級コンパクトのわりにはがっかりさせられました。
また、使っているうちに感じた事に高解像の反面として、微少なブレがぼけた感じになる事があるので、ブレには要注意でしょう。
本機は理想のデジスコ機ではありませんが、小型で高機能なW300とバランスの良いS80と使い分けるとよいと思えます。
参考:本テスト画像の背景が濃いものと薄いものがありますが、野外での撮影のため晴天では濃く、曇りでは薄めの背景となっております。
サンプル写真 
チョウゲンボウ 相模原市

小さなバッタを捕らえてきました。

TSN-774 + TE-10Z(20X-60X) + P6000
ISO-64
1/258sec F5.2 (40X 2,296mm)
シャープ+1

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No.081207-774-P6000-01414
ホオジロ 相模原市

直射日光の強く当たる場面では、コントラストを下げたカスタム2で白飛びに大丈夫でした。
スコープはTSN-824M

TSN-824 + TE-14WE(30X) + P6000
ISO-64
1/103sec F7.8

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No.081126-824-P6000-00653
カワセミ 町田市

クリアランスの調整ミスで周辺光量を低下させてしまいましたが、偶然に面白いイメージになりました。
また、シャープは+1段の設定で解像感が一層高く見えてきます。

TSN-774 + TE-10Z(20X-60X) + P6000
ISO-200
1/23.7sec F6.2 シャープ+1

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No.081126-774-P6000-00653
ルリビタキ 町田市

原画ではボケぎみでしたが、シャープ処理には余裕があり、かなり解像感が得られました。

TSN-774 + TE-10Z(20X-60X) + P6000
ISO-200
1/20.1sec F5.9 シャープ標準

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No.081126-774-P6000-00828
ワシカモメ 銚子市

約30mの距離のズームアイピースでも色収差が目立たずに解像感の高い画像になりました。

TSN-774 + TE-10Z(20X-60X) + P6000
ISO-64
1/455sec F5.0 (40X 3,416mm)
シャープ+1

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No.081206-774-P6000-01269