銚子港で冬場を過ごしたミツユビカモメは4月から5月初旬に北に移動し、国内で夏羽のミツユビカモメを陸上で観察出来るのが、北海道東部沿岸地域です。10月初めには何故か10日間ほど浜や漁港に大群がやってきます。
今回の観察は、大群が来る前の9月17〜20日に道東の釧路から根室の納沙布岬にかけての漁港をまわりました。
喚羽が始まった時期で、夏羽の個体から、冬羽個体までバリエーション豊富に観察出来ました。
霧多布漁港の堤防

堤防の先にミツユビカモメの小群が入っています。
時期が良ければミツユビカモメの大群がここにもやってきます。

今回の観察の中心になりました。

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No.P5000-03015
ミツユビカモメ 成鳥夏羽

銚子漁港ではほとんど見る事が出来ない頭部の白い夏羽の姿です。
今回の探鳥では約7割ほどが夏羽で喚羽の時期は、個体差は大きいもののほとんどがこれからで、ウミネコやオオセグロカモメより遅いように感じます。

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No.30D-09472 霧多布漁港
ミツユビカモメ 成鳥冬羽

銚子漁港でおなじみの頭部が黒くなった冬羽の姿です。
このような冬羽の個体はまだ少なく約1割程度でした。

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No.824M-P5000-03357 仙鳳趾漁港
ミツユビカモメ 成鳥夏羽から冬羽に移行中 頭部がもやもやした黒い斑が出始めています。このようなタイプは約2割ほどで、結構、かわいらしく見えます。
No.30D-09740 納沙布 拡大 No.30D-09727 納沙布 拡大
ミツユビカモメ 第2回冬羽

第2回の個体はこの個体だけでした。
翼には第1回のなごりのM字班が見られます。
また、頭部には早くも黒班がありウミネコ同様に若鳥の喚羽は早いのかも知れません。

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No.30D-09699 納沙布
道東のミツユビカモメフォトアルバム  画像をクリックして拡大
No.30D-09989 No.30D-09776 No.30D-10016
No.30D-09444 No.30D-09415 No.P5000-03326
No.P5000-03407 No.P5000-03391 No.P5000-03287
No.30D-09426 No.P5000-03338 No.P5000-03351
No.30D-09737 No.P5000-03036 No.P5000-02949
No.30D-09758 No.P5000-02870 No.P5000-02869
No.P5000-03130 No.P5000-03125 No.30D-09876
負傷したミツユビカモメ

この個体は左頭部、翼に青い塗料の様な物が付着しています。何かに衝突したのでしょうか?何度か飛び上がろうとしても飛び上がれません。
元気になってほしいと願うばかりです。

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No.30D-09960 霧多布漁港
道東のミツユビカモメの大群について
毎年秋になると道東の沿岸にミツユビカモメの大群がやって来るのは知られていましたが、なんで外洋性のミツユビカモメが秋の移動の時期にやってくるのかわかりませんでした。
銚子漁港でも一度か二度ほど大荒れの天候になった時に港に大群が入る事がありました。
しかし地元のバーダーの村長によると毎年10月の初めの約10日ほどの間、なぜか大群が浜や港に集まるとの事で、天候には関係ないとの事で、単に移動中の休憩なのか、さらに疑問が増すことになりました。
今回はやや時期が早く大群に巡り会えませんでしたが一度は目にしたいと思います。
今回の道東港巡りの感想
今回の4日間、釧路から根室(納沙布岬)まで、大小の漁港をまわり、大群には巡り会えなかったものの合計約200程のミツユビカモメを観察できました。
釧路、根室、花咲などの大きな港では姿は見られずに納沙布岬近くの小さな漁港に多く集まっていたのが印象的です。
港内での行動パターンは、外海に面した堤防で休んでおり、港内側の堤防にはほとんど見られません。銚子のように加工場から出る魚のクズを採食している様子もなく、単に浜と同じように休憩場所にしているだけのように見えました。
鳴き声は銚子で聞くキッキではなく、やや大きな声でゲゲゲッと鳴いていたのが印象的です。
冬羽の喚羽状況は約7割が夏羽で2割が移行中、1割が冬羽という印象です。単純に個体差なのか、若い個体が喚羽時期が早いのか、またやや小型の雌個体が早いようにも感じられましたが、はっきりとはわかりませんでした。
特に気になったのは期待していた幼鳥の姿が全く確認出来なかった事で、ちょっと淋しい気がしま
す。
ミツユビカモメの羽繕い動画 AVI 7M 30秒